2020/08/02 16:41



「くだものの里」長野県松川町で、70年以上りんごを中心に果樹を栽培している観光果樹園「フルーツガーデン北沢(https://fgkita.com/)」「マルカメ醸造所」(https://www.marukamecidery.com/)の北沢毅(写真右)、北沢寛(写真左)と申します。

標高650ⅿ。

南アルプスの山々に抱かれた、東京スカイツリーのてっぺんよりも高い場所で僕らはくだものを作っています。

ここ松川町はりんごの一大産地。

高速道路を使って名古屋から2時間、東京からも3時間半という立地で、果物のシーズンになると沢山のお客様が果物狩りや季節の味覚を楽しみにいらっしゃいます。

松川ICを降りるとすぐに雄大な南アルプスと、綺麗に手入れされた果樹園が目の前に広がります。もともと雑木林だった農地を先人たちが切り開き、時には自然災害等によって壊滅状態に追い込まれながらも、100年以上の時間をかけて作り上げてきた美しい風景です。


ひい爺さんの代から受け継いだフルーツガーデン北沢の農地は、僕ら兄弟の代で4代目になります。

3代目(現園主)の北沢公彦は元ディズニーランド職員。テーマパーク勤務の経験から「日常を忘れてのんびりできる、サービスを売る観光果樹園」を提唱し、贈答用りんごの発送だけでなく果物狩りや加工品作りにも力を入れてきました。僕らはそんな、楽しそうに農業に取り組む親の背中を見て育ち、兄弟でここに帰ってきました。


僕らが帰ってきて感じたことは、自分たちの手で作物を作る農業の楽しさ。そして同時に、周りのりんご農家の疲弊です。

就農者の高齢化や販売単価の低迷、耕作放棄地の増加。そんな中で父のもとに舞い込んでくる「この農地何とかならないか?」という相談件数の多さ。

既存のお客様もご高齢になっていく中、生のりんご全体の消費量は減少傾向に向かっており、若い人ほどりんごを食べないという現実。

でも、可能性はあります。

初めて来てくれたお客様の「今までスーパーで買ったりんごとは全然違う」「りんご、嫌いだったけど好きになれそう」という声。友人やお世話になった方に来ていただいたときのリピート率の高さ。景観の良さに加え、日照時間の長さ、昼夜の寒暖差の大きさ等、全国的に見てもこの地域は美味しい果物を作れる条件が揃っています。


まずは、商品を味わってくれた人やここに来てくれた人たちが、誰かに自慢したくなるようなものを作ること。

そしてりんごやシードルを通して風土を味わいに沢山の人たちがこの地域に来てくれること、Uターンや新規就農者が増え、この美しい果樹園地帯が持続可能なものになる将来を夢見ています。